当初、石丸氏は眼中になかったが…
「蓮舫さんは前回の都知事選でも出馬を求められていました。野党陣営で最も知名度がありますからね。前回出馬を固辞した知事選に今回出たのは、小池さんに勝てる可能性があると踏んだからです」
6月20日の告示前、立憲民主党関係者はこう述べ、首都の首長決戦で現職の小池百合子氏を破り政局の主導権を握る夢を描いていた。
実際、立民は5月の衆院補選にて3選挙区で全勝し上げ潮ではあった。裏金問題で退潮が明らかな自民党と、小池氏が一体だと印象づければ小池氏にも逆風が吹き、変革への期待の声が蓮舫氏に向くと計算していた。
「石丸氏は蓮舫氏より前に知事選に名乗りを上げましたが、地方で議員を派手に攻撃する姿がSNSの一部で人気を博していた程度。石丸氏がどれくらい力を示せるのかまったく未知数で、立民は眼中にも入れていなかった。小池対蓮舫の一対一の闘いにいかに勝つか、しか考えていなかったでしょうね」(政界関係者)
“エロポスター”の掲示騒動などで騒がしかった選挙戦序盤から6月末ごろの中盤までも、蓮舫氏の選対は、小池氏にいかに追いつき追い越すか、しかアタマになかったとみられる。
「6月末までの報道各社の世論調査の結果はすべて、小池氏が1位、蓮舫氏がやや差をつけられ2位、その後ろを石丸氏が追ってくる、との構図を示していました。蓮舫陣営や支持者は努力次第で小池氏の背中が見えてくると信じていたことでしょう」(社会部記者)
駅前に多数の聴衆を集めた街頭演説会で、蓮舫氏は優れた演説技術を見せ、どの会場でも熱気を帯びた反応があったことが理由の一つとみられる。
「蓮舫氏の演説は問題点の指摘と改善のための具体的な政策を抑揚をつけて訴え、聞く側を引きつけるうまさがありました。聴衆の反応はよく、都政を変える可能性を感じて自発的にプラカードを持って駅で蓮舫氏支持を訴える『ひとり街宣』のムーブメントも起きました。
選対によれば約3000人がこの運動に参加し、延べ700以上の駅でひとり街宣が行なわれたといいます」(社会部記者)